●オリジナル
PCL(プレキャストL型)
擦壁の開発
さて、みなみ野シティは坂の街でもある。
従って当然、擁壁のまちとなる。
宅地擁壁の外観をどう処理するかが里性、街性のイメージをかたちづくる決め手ともなる。
そこで、PCLの表面にどのような化粧をはどこすかが検討された。
化粧型枠、吹き付け塗装、洗い出し仕上げ、本石等の打ち込み等、在来の製品が検討されたが、どれもがこれぞみなみ野のデザインコンセプトに適うという決め手に欠けるか、コスト面や高さ50cmから3mを越えるというまちまちの規格で、しかも一時期に大量に供給されなければならないという、生産ペースでの問題が指摘された。
ここで、ショットブラストによる、つつき仕上げを新たに検討することとなった。
ショットブラスト仕上げとは、もじどうり細かな鉄球をコンクリートの仕上げ面に吹き付け、細かなつつき仕上げを表面に施すもので、一般にコンクリート平板等に用いられている仕上げ法である。ナチュラルな色調でぬくもり感があり、地味ではあるがコンクリートの生地や骨材本来の持ち味を引き出せる仕上げ法の一つである。
●みなみ野シティの
ピレッジを
・ 表現する仕上げ
ことに、里性という素朴なぬくもりを表現でき、コストパフォーマンスに叶い、ある程度の量産性がある仕上げの選択と言う、なんとも難しい注文にこたえられるのがこのショットブラストではないかと考えられた。
里性のイメージの中では、擁壁は家並の色以上に主張せず、ベーシックなアースカラーで、擁壁と言うよりは土っぽい塀のような存在で、まちの「地」を構成するものであり、他の素材との馴染みがよく、かつまた、後に住まい手が自らの個性で、一部に味付けをしても違和感の無い仕上げであるべきだと考えられた。
また、表面の数センチの骨材を様々な天然石に変えれば、多彩な自然の色合いとテクスチェアーを設定することができる。
つまり、8つのビレッジにあわせて、それぞれスタイルを変えることが可能となる。
そんなことからこのショット仕上げが候補となったが、生産ラインには平面を加工するマシンしか世の中に無いことが解かった。