コンクリート表面模様形成技術
コンクリート表面のテクスチヤー形成には、発泡スチロール、合成ゴム、金属などの型枠材料が用いられることが多い。しかし、これらの方法は施工性、コス トあるいは、転用性などの点で改善すべき点も多かった。プラスチックシートによるテクスチヤー形成技術としては、コンクリートとの剥離性、加工性、取扱 い、リサイクル可能な点など利点が多い1)、4)。プラスチックシートは、食品などに利用されている簡易容器などと同様の方法で作成され自由度が高いが、 コンクリートに利用するためには、側圧に対する剛性が必要である。〔表-1〕にコンクリート用プラスチックシートの特徴を示す。施工の手順は簡単で、〔写 真-6〕に示すように、従来の型枠に両面粘着テープやステーブル、釘などを用いて取付けるだけで良い。プラスチックシートを型枠に用いれば、〔写真-7〕 (次頁)のごとく簡単に脱型ができ、小さな凹凸部分も綺麗に形成できる。
〔表-1〕プラスチックシートによるテクスチヤー形成技術の特徴
特 徴 |
立体(模様)仕上げ一般 | プラスチックシートを用いた場合 |
・意匠性 |
・多様で美しい表面模様が可能 |
景気低迷にも係わらず、公共構造物の打放しコンクリート表面は、何らかの景観が施されている。人間が物的要求でなく、心の豊かさを求めていることを象徴し ているものと考えられる。殺伐としたコンクリートジャングルに暖かさを与えるコンクリートの景観向上技術は、社会に定着したことにより、今後は、さらに磨 きをかけ、景観の耐久性についても求められるとともに価格競争へ進むであろう。ここで紹介した技術が何らかの参考となれば幸いである。
〔参考文献〕 1)平田隆祥・十河茂幸;プラスチックシートによるコンクリート表面のテクスチヤー形成方法、大林組技術研究所報、No.50,1995. 2)川島宏幸・平田隆祥・十河茂幸;凝結遅延剤を塗布したシートの鉛直打継目処理性能について、コンクリート工学年次論文報告集、Vol.18,No.1,1996. 3)川島宏幸・平田隆祥・十河茂辛・相原功;アルカリ可溶型凝結遅延シートによるコンクリートの骨材洗出し技術、大林組技術研究所報、No.55,1997. 4)十河茂幸・大山茂男・平田隆祥;プラスチックシートによるコンクリート表面のテクスチヤ形成方法、土木学会第49回年次学術講演会概要集、平成6年9月 5)金渾克義・十河茂幸;明石海峡を見る、セメント・コンクリート、No.611,Jan.1998. |
〔写真8〕PCa型枠によって施工された明石海峡大橋1Aアンカレイジ