・調査結果
(1)昭和50年以降造成115団地44,937宅地中、被災3宅地
(2)昭和50年以降宅造工事実施10,732宅地中、被災4宅地
(3)昭和37~49年造成94団地35,072宅地中、被災86宅地
(4)昭和36年以前造成3団地1,342宅地中、被災54宅地
(5)昭和36年以前造成団地111,469宅地中、被災1,331宅地。
全体として被災7宅地と非常に少ない結果となる。
震度との関係を見ると、震度(7)433(25%)、(6)664(39%)、(5)610(36%)被災宅地となり、 震度階別結果を分析すると、震度(5)は7箇所(母数55,388)、(6)は母数243、(7)は母数38で少ないが被災箇所はない。
今回、造成宅地の一定区域に地盤変動が起きたが、 この区域は10%に満たない緩勾配箇所で、数十センチメートル移動し、 安全率の高い所で起きている。 宅地の安全性を保つ上で、起きた原因、発生したメカニズムをおさえて、 今後の宅地造成に反映させていくことが重要である。
・今後の課題
- 調査対象の宅地擁壁がほとんど震度(5)、(6)相当の区域に存在していたことから震度(7)相当の地震に対する安全性の検討をさらに進める必要がある。
- 宅地擁壁設置に関する基礎地盤の処理方策、 とりわけ基礎地盤の支持力確保について、更に検討を要する。
- 被災宅地擁壁の中に施行不良が被災原因となったものが少数とはいえあったことで確実な施行を行うための方策を検討する必要がある。
- 一定区域の地盤変動発生に対し、盛土のり面周辺の変状以外に盛土本体に変状が発生したと思われることから、 円弧法に基づく静的解析のみでなく、動的解析手法を用いて、盛土全体の安全性の確保方策についての検討が必要である。(講演60分)
[紙面の都合で講演内容を断片的にしかお伝えできないことをお詫びします。 なお、収録テープ・テキストが事務局に保管されていますので、ご利用いただきたいと思います。(広報委員会)]